
【現役エンジニアインタビュー第10弾】“Think Outside The Box”フルリモートが広げた視野と可能性
2025年6月8日
「働き方を変えたことで、考え方も変わった。」
出社が当たり前だった日々から、突然のフルリモート生活へ──。
Iさんはその変化をきっかけに生活 スタイルを朝型へとシフトし、自己投資の時間を確保。本業とサイドビジネスを両立させながら、長期的なキャリア構築に向き合っています。
フルリモートで働くという選択が、どのように人生に作用したのか。
その実体験と気づきを伺いました。
目次
キャリアの出発点と、これまでの歩み
山添:
自己紹介とこれまでの経歴をざっくり教えてください。
Iさん:
大学・大学院と情報系を専攻して、大手IT企業に新卒で入りました。最初は決済・金融系のシステムをJavaやSpring Bootで開発していて、たまにフロントも触るって感じでした。1年半ぐらいやってたら、決済アプリの会社に出向することになって、そこではクレカとか銀行連携のシステム開発をしてましたね。半年間テックリードもやってました。
で、その後戻ってまた決済系を続けてたんですが、「もっとフロントもやりたい」って思って、社内異動を希望してメディア系の部署に移りました。災害情報のサービスとかを担当して、3年間そこでやってました。そして、今年の1月に転職して、今はWeb系の開発をフルスタックでやってます。あと、iOSアプリはずっとプライベートでやってて、大学生のころから「自分でサービス作りたい」って思いがあったんですよね。
山添:
すごく幅広い経験ですね。バックエンドからフロント、テックリードまで。
Iさん:
そうですね。いろいろやりましたけど、「自分で作れる力をつける」ってのは一貫して意識してます。
出社からフルリモートへ──働き方の変化がもたらしたもの
山添:
フルリモート転向前は、どんな働き方をしていましたか?
Iさん:
最初は毎日出社でした。でも、出向先で働いてるときにちょうどコロナが来て、突然フルリモートになったんですよ。そこから会社全体がフルリモートに切り替わりました。
山添:
そのギャップはどうでした?
Iさん:
出社してた時の良さって、新卒のとき特に感じてました。同期とグループ開発や研修で自然に仲良くなれたし、先輩が隣にいて、気軽に聞ける環境だったのは本当にありがたかった。学ぶ段階のエンジニアには、あれってめちゃくちゃ大事だと思います。
でもやっぱり、通勤時間はしんどかったですね。独身でオフィスの近くに住んでたとはいえ、片道40〜50分かかってたし。それが家族できて郊外に住むとかになったら、もっと時間かかる。あと、オフィスって基本コミュニケーション重視の設計じゃないですか。集中したくても人に話しかけられて、リズムが崩れるのは正直きつかったです。
環境整備と健康管理──フルリモート定着の工夫
山添:
フルリモートに切り替わってから、準備や変化はありましたか?
Iさん:
いや、切り替えが突然だったので準備はできなかったですね。当時は妻と1LDKに住んでて、ちゃんとした机もなかったんです。リビングで仕事してるとテレビも見れないし、パーソナルスペースがなくてお互いストレス。これはまずいと思って、郊外の広めのアパートに引っ越しました。
山添:
生活面で他に気をつけたことは?
Iさん:
健康面ですね。出社してたときは自然と歩いてたけど、フルリモートになってから1日の歩数が激減して太ったり、睡眠の質が落ちたりしたんです。だから夕方に筋トレやランニングの習慣をつけて、身体とメンタルのバランスを整えるようにしました。
フルリモートが与えてくれた変化と生産性
山添:
フルリモートになって、働き方にどんな変化を感じましたか?
Iさん:
まず、朝型になりました。昔は完全に夜型だったんですけど、朝のほうが頭が冴えてるって気づいて、今では朝イチが一番集中できる時間です。あと通勤時間が無くなったので、その分をアプリ開発や読書などの自己投資に充てられるようになりました。
これがめちゃくちゃ大きくて、転職やサイドビジネスもフルリモートで時間に余裕ができたからこそ実現できたと思ってます。
フルリモートの気づきと葛藤
山添:
フルリモートでの業務上で感じたメリット・デメリットについて教えてください。
Iさん:
生産性は確実に上がりました。集中して作業できる時間が増えたのは本当にありがたいです。ただ一方で、ミドル以下のエンジニアのサポートが難しくなりました。自分からヘルプを求められない人って結構いて、そういう人が1人で詰まってしまうと本当に時間の無駄になっちゃうんですよね。
Jiraで細かくタスクを切ったり、Zoomつなぎっぱにしたり、いろいろ試したけど限界があって…。結局、フルリモートは“放っておいても自走できる人”じゃないと機能しないと思っています。
山添:
人間関係の構築についてはいかがですか?
Iさん:
それもありますね。雑談や飲み会みたいな、偶発的な人間関係がほぼゼロになるので、仲良くなる機会がめちゃくちゃ減ります。しかも、オンラインでわざわざ雑談の場を作るのって、正直めんどくさいじゃないですか。だから仕組みが無いと本当に関係性が築けない。
習慣がキャリアをつくる──これからの展望とアドバイス
山添:
今後の働き方や目標について教えてください。
Iさん:
今は週の一部だけ出社するハイブリッド勤務なんですが、このスタイルが一番合ってると思っています。今後もこの形で仕事と自己投資、アプリ開発の両立を続けたいです。バランスよく、両軸でコミットしていきたい。
山添:
フルリモートを目指す人に向けて、アドバイスはありますか?
Iさん:
まず、フル出社を求められる会社にいるなら、ハイブリッドOKの会社に転職するのをおすすめします。それだけでもキャリアの選択肢が増えますから。
あと、習慣を大事 にすること。時間の使い方次第で、すごく成長もできるし、逆に堕落もする。誰も見ていない中でどう成果を出すかは、モチベーションよりも習慣に落とし込むことが重要だと思います。
最後に:枠の外に目を向けられるようになったこと
山添:
今回のフルリモート転向で得た、最大の学びは何でしたか?
Iさん:
「Think outside the box」ですね。枠にとらわれず考える力がついたこと。仕事を“人生のすべて”とせず、時間を使って習慣を作り、自分の道を切り拓く。その思考と習慣がなければ、転職やサイドビジネスをしようなんて思わなかったと思います。
【まとめ】
Iさんの話から見えてきたのは、フルリモートという選択が「自由な時間」ではなく「自分のキャリアをどう構築するか」という問いを突きつける働き方だということ。習慣の力を信じ、日々の積み重ねでキャリアを広げていく。その姿勢こそが、未来を切り開く武器になるのだと実感しました。