
【現役エンジニアインタビュー第11弾】「フルリモートで“キャリア”も“子育て”も、あきらめない」柔軟な働き方が私の人生を変えた
2025年6月9日
キャリアか、子育てか――。
そのどちらかを選ばなければならないと感じたとき、Kさんは「働き方を変える」という選択をしました。
フリーランスから再び正社員へ、そしてフルリモートというスタイルを選んだ背景には、母として、そしてエンジニアとしての等身大の葛藤と模索がありました。
「柔軟に働ける環境があれば、キャリアも家庭も両立できる」。そんな想いを胸に、今も第一線で活躍を続けるKさんに、働き方の変化がもたらした気づきや挑戦について語っていただきました。
目次
まとめ:「選択肢があるからこそ、自分の人生とちゃんと向き合えた」
キャリアの始まりと、現在の仕事について
山添:
自己紹介と、これまでの経歴についてざっくり教えてください。
Kさん:
はい、新卒2年目からエンジニアとして働き始めて、今でエンジニア歴は8年目です。これまでに3社を経験して、その後いったんフリーランスとして独立しました。ただ、昨年の12月からはフルリモートで働ける会社に正社員として入社して、今はサーバーサイドエンジニアとしてデータ分析基盤の構築を担当しています。
山添:
フリーランスから正社員に戻った経緯には、どんな思いがありましたか?
Kさん:
フリーランスは働き方としての自由度は高かったんですけど、収入の安定が本当に難しかったですね。自立してやっていきたい気持ちはあったけれど、それよりも「柔軟に働けるかどうか」が私にとって一番重要でした。 そしたら、正社員でも柔軟な働き方ができる会社が見つかって、それならばと、正社員として働くことを選びました。
出社からフルリモートまで、働き方の変遷
山添:
以前はどのような勤務形態だったんですか?
Kさん:
フリーランスになる前は出社が基本でした。コロナ禍以降はリモートも併用されるようになって、それからフリーランス→フルリモート、という流れです。
山添:
出社とリモート、それぞれで感じたメリット・デメリットはありましたか?
Kさん:
出社は特に経験が浅かった頃にありがたかったですね。周りに上司や仲間がいる環境だと、わからないこともすぐに聞けるし、行き詰まってたら気づいてもらえるし。あと、通勤って意外と生活にメリハリが出るんですよね。家と会社、場所を変えることで自然と気持ちも切り替わる。
でもやっぱり、移動時間が一番のネックでした。今は3歳の子供がいるので、移動にかかる時間を仕事や家事に使える方が圧倒的に助かります。たった1分でも、電車に乗り遅れたらアウト。でも、在宅なら1分のズレなんて大したことじゃない。特に時短勤務で働いている今は、その1分1秒がすごく大事なんです。
フルリモート転向を決めた“きっかけ”
山添:
フルリモートで働こうと決めたきっかけは何だったのでしょうか?
Kさん:
子供が生まれてから時短で職場復帰したんですが……両立が本当に難しくて。「もう仕事を辞めようか」と悩んだこともあります。でも、リモートワークなら両立できるかもって思ったのがきっかけですね。
当時の会社にもリモート制度はあったんですけど、「本当に困ったときだけ使う特例」みたいな雰囲気で、文化としては根付いていなかったんです。管理職も全員出社していたし、結局“出社前提”の仕事になっていて、「これでは続けられないな」と思いました。
実際に移行するまでのプロセスと試行錯誤
山添:
転職やフルリモートの環境に移るにあたって、どんな準備をされましたか?
Kさん:
面接では、SlackやWeb会議など、リモートで使うツールへの慣れ具合を聞かれました。私はもともとそういうツールは日常的に使っていたので、その点は問題なかったですね。
山添:
実際に働き始めてから、苦労したことは?
Kさん:
「働きぶりが見えづらい」っていうのが、一番大きい課題でした。だから、自分が今どういう状態か、うまくいってるかいってないか、ちゃんと“見える形”で伝えるようにしました。ドキュメントに残したり、Slackでこまめに報告したり。自分から声を出すって大事なんだなって痛感しました。
それと、孤独感はあります。今の会社って、実はリアルで会ったことある人、一人もいないんです(笑)。だから時々、外でランチして社会を感じたり、散歩したり。なるべく一人で籠もらないように意識してます。
フルリモートで見つけた「心の余裕」と「働く意味」
山添:
フルリモートに転向してから、働き方や生活にどんな変化がありましたか?
Kさん:
心に余裕ができましたね。それが一番大きいです。以前は電車に遅れないように常に焦ってたし、出社してたときは夜に一気に家事をやって、もうクタクタでした。でも今は合間に少しずつ進められるし、子供と向き合う時間もちゃんと取れるようになりました。結果的に、イライラもしなくなったし、仕事にも余裕をもって取り組めてます。
山添:
業務面での変化や気づきはありますか?
Kさん:
集中して作業できるので、パフォーマンスは確実に上がってます。ただ、コミュニケーションは大変。文章で伝えるのが苦手な人とやり取りすると、何度も言わないと伝わらなかったり……。あとはどうしても1対1のやり取りに偏ってしまうので、情報の広がりが弱くなりますね。
これからのキャリア
山添:
これからの働き方について、どのように考えていますか?
Kさん:
子供がもう少し大きくなったら、少しずつ出社を取り入れていこうかなと思っています。私はやっぱり、チームで一緒に仕事をするのが好きなので。今は純粋に手を動かす仕事をしてますが、将来的にはマネジメントや顧客対応にも挑戦していきたいです。
フルリモートを考えている人へのメッセージ
山添:
フルリモートを検討しているエンジニアの方に、アドバイスをお願いします。
Kさん:
「なんとなく楽そうだから」で選ぶと、続かないです。時間を有効に使いたいとか、地方に住みたいとか、明確な理由が必要。あと、ちゃんと仕事に意欲があること。それがないと、自分から発信したり、見える化したりっていう努力が続かないと思います。自律性が求められる分、意識して取り組めるかどうかが鍵ですね。
まとめ:「選択肢があるからこそ、自分の人生とちゃんと向き合えた」
――働き方に悩んだ時期が、自分のキャリアや家庭とどう向き合うか、真剣に考えるきっかけになった。もし、あのときフルリモートという選択肢がなかったら、きっと今の働き方も、キャリアの継続も実現していなかった。Kさんの経験は、「働き方を選べる社会」の意味をあらためて教えてくれる内容でした。