
【現役エンジニアインタビ ュー第4弾】寝食を忘れてコードを書いたあの週末が今の働き方を作った
2025年5月26日
―― 手に職をつけようと思った日、人生の選択肢が増えた ――
未経験で飛び込んだエンジニアの世界。サービスを自分で作って公開し、100社以上に応募して、やっと掴んだ今の働き方。
今はフルリモートで、仕事も家族も妥協せずに向き合えています。
そう語るのは、かつてはコールセンターで働いていたDさん(30代後半)。未経験からエンジニアに転身し、いまではフルリモートで開発・インフラ構築・チーム調整までこなす多才なエンジニアとして活躍しています。キャリアの転機やフルリモートで価値を発揮するコツについて伺いました。
目次
コールセンターからWebエンジニアへ
――まず、現在のご経歴について教えてください。
Dさん:
年齢は30代後半で、エンジニア歴は5年以上になります。今は3社目で、Web系の会社でバックエンドを中心に、AWSを使ったインフラ構築まで幅広く担当しています。チームの中では、リーダー手前のポジションで、タスク管理やPMとの調整もしています。
――まず、エンジニアになるまでの経緯を教えてください。
Dさん:
私、元々はコールセンターで働いてたんですよ。でも子どもが生まれることになって、「このままでいいのか?」って強烈に思って。
手に職を付けたいと思って、長く続けられる仕事って何だろう……と考えてたどり着いたのが「エンジニア」でした。
――すぐに勉強を始めたんですか?
Dさん:
いいえ。まず、求人サイトを片っ端から登録して、いろんな会社に応募したんです。その中の1社で「ちょっとカジュアルに話してみませんか?」と面談 の機会をいただきました。
そこで「どうしたらエンジニアになれますか?」と聞いたら、
「プロダクト作って公開してみたら?それが一番伝わるよ」って。
その時に担当の方から言われたんですよ。
その一言でスイッチが入って。
完全に独学ですがProgateでプログラミングに触れてみたら、思ったより面白くて。「気づいたら土日もずっとコードを書いてた」みたいな感じでのめり込みました。
「自分でプロダクトを作れば?」──何気ない一言が人生を変えた
Dさん:
Progateで学んだことを活かして、当時の自分が感じていた課題を解決 するWebサービスを、Herokuという無料でデプロイできるサービスを利用してサービスを公開しました。ほんと、寝食忘れてコードを書いてましたね。
「求人サービスから応募してるうちは受からないよ」──知人のアドバイス
でも、プロダクトを公開したからといってすぐに内定がもらえるわけではなくて。実際は100社近く応募しました。
そんな中で、エンジニアの知人から教えてもらった裏技があるんです。
「企業の採用ページから直接応募した方が通りやすいよ」
「だって企業は成果報酬払わなくて済むから」
それを聞いて、「なるほど」と思って方向転換しました。
直接応募、Green、Forkwell、paiza、Findy、X(旧Twitter)──あらゆる手段を使ってアプローチしました。
内定3社。選んだのは「怖いけど、成長できそうな場所」
――最終的にどんな企業から内定を?
Dさん:
3社から内定をいただきました。そのうち2社はSES、1社が自社開発の会社。
正直、自社開発の会社は不安でした。技術レベルも高そうだったし、自分が通用するか分からなくて……。
でも、「ここで踏み出さなきゃ、きっと後悔する」と思って、あえて一番難しそうな道を選びました。結果的に、今の技術力のベースが出来たのはその選択のおかげです。あのときの自分、よく頑張ったなって思います。(笑)
フルリモートは「偶然」始まった。でも、もう戻れない
――フルリモートに切り替わったのはいつですか?
Dさん:
最初の会社で、コロナ禍が来て突然フルリモートになりました。でも、やってみたらすごく快適で。朝の通勤がないだけで、1日5〜6時間、家族と一緒にいられる時間が増えたんですよ。
朝子どもとゆっくり時間を過ごしてから保育園に子供を預けて、出社の時よりも早い時間に保育園にお迎えにも行ける。子供と一緒にいれる時間が大幅に増えたので「これはもう出社には戻れないな」と思いました。
その後、会社が出社に戻したときに、子育てのことがあったため自分だけ「続けさせてほしい」と頼んで、社内で唯一のフルリモートを継続していた社員でした。
リモートワークで信頼を得るには、“行動”で示すしかない
Dさん:
出社してたときは、雑談とか雰囲気で人間関係ってできてたんですよね。
でもリモートではそうはいかない。
だからこそ「信頼される行動」を徹底しました。
【フルリモートで信頼を得るために意識したこと】
・Slackは即レス
・依頼には徹底的にコミット
・口頭で話したことを含めて必ずテキストでログを残す
・社内での細かなコミュニケーション
結果として、「Dさんに頼めば安心」という状態になれたのは大きかったです。
孤独・情報格差──フルリモートの“見えない課題”
――逆に、苦労した点はありますか?
Dさん:
やっぱり孤独な点ですね。
過去1年間くらい、家族以外と全く話さない日々が続いたことがあって……。
コンビニの店員さんとの会話でも緊張するくらい、会話力が落ちてたんです(笑)
また、前職では出社組のエンジニアと在宅組のエンジニアのような中途半端な組織体制だったこともあり、働き方の違いで情報格差が起きて疎外感も感じていました。
現職では、エンジニア全員がフルリモートなので、開発チーム内での格差はなく、ストレスもほとんどありません。
フルリモートで「仕事の質」も「生き方」も変わった
――キャリアの視点で、どんな変化がありましたか?
Dさん:
出社していた頃より、「どうやって自分の成果を伝えるか」にすごく意識が向くようになりました。
ドキュメントをちゃんと書く、Slackで可視化する、納期と品質を守る。
「見えないからこそ、見せる努力をする」っていう考え方ですね。
これからフルリモートを目指す人へ
Dさん:
これからフルリモートで働きたい人に伝えたいのは、
大事なのは「制度」じゃなく「環境と自分のふるまい」。
・全員がリモートのチームを選ぶこと(孤立や情報格差を防ぐ)
・信頼される働き方をすること(レス・納期・クオリティ)
・相談、雑談など「人と繋がる習慣」を持つこと
そして、なにより― ―
「家族と過ごせる時間が増えたことで、人生が豊かになった」
この働き方を選んで、本当に良かったと思っています。