
【現 役エンジニアインタビュー第5弾】子育てと転勤の波を超えて――フルリモートで繋ぐ、キャリアと暮らしのバランス
2025年5月29日
「無理せず、でも止まらない」
今回お話を伺ったのは、Web系の制作会社に勤めるシステムエンジニアのEさん。大学卒業後に新卒入社して以来、同じ会社でキャリアを積み続けて きたEさんですが、ある家庭の事情をきっかけに「フルリモート」という働き方へと舵を切ることに。
その背景にあった葛藤や変化、そして働き続けることで得た“気づき”とは?
目次
山添:
まずは自己紹介 と、これまでの経歴をざっくり教えてください!
Eさん:
はい、Web系の制作会社でシステムエンジニアをしています。大学では情報系の学部にいて、そのまま今の会社に新卒で入りました。以来、ずっとここで働いています。
社内部門が使う業務ツールの開発や、外部向けのシステム開発・保守を担当しています。技術としては、PHP(LaravelやCakePHP)、JavaScript(jQuery、Vue)あたりを使っていて、今はほぼフルリモートで働いています。必要があればオフィスにも行く…という感じの働き方です。
「このままじゃ続けられない」葛藤の中で見えた選択肢
山添:
その中で、特に印象に残っている出来事はありますか?
Eさん:
一番大きかったのは、やっぱり「フルリモートへ転向する」と決断した時ですね。実は、家庭の事情があって、どうしても出社が難しい状況になってしまって…。
正直、会社を辞めることも頭をよぎっていたんですけど、思い切って事情を上司に相談したら、会社の方で制度を調整してくれて。ありがたいことに、フルリモートという働き方を許可してもらえて、今もそのまま働き続けられているんです。本当に感謝しています。
山添:
本当に、会社の柔軟さがあってこその継続ですね。
Eさん:
そうなん です。会社の理解がなかったら、今の働き方は実現できていませんでした。
山添:
フルリモートを決めた背景には、「家庭の事情」があったんですね。
Eさん:
はい。夫の仕事の関係で、どうしても転勤が多いんです。子供もまだ小さくて、環境の変化にすごく敏感で、体調を崩してしまうこともありました。私自身も、家のことを全部抱えていたので、精神的にかなりキツかったんですよね。
そんな中でも、転勤しても「仕事だけは変わらない」っていうのは本当に救いで。
生活が揺れても、仕事が軸としてあると、安心感がまるで違うんです。
育児の面でも、落ち着いて対応できる ようになりましたし、この働き方を許可してくれた会社には感謝してもしきれません。
出社ゼロの難しさ
山添:
フルリモートへの移行で、準備や苦労したことはありますか?
Eさん:
技術的な部分では、自宅から社内システムにアクセスできるようVPN環境を整える必要がありましたが、そこは社内のIT部門がサポートしてくれました。
一番苦労したのは、やっぱりコミュニケーションですね。
でも、やっぱり苦労したのはコミュニケーションの部分でした。特にブレスト。私が所属していしているチームは、だいたい2〜3人でひとつのプロジェクトを動かすんですが、オンラインだと 「その場でのアイデア出し」みたいなことがやりづらくて…。
山添:
ホワイトボードを囲んで議論する、みたいなことができないわけですね。
Eさん:
まさにそれです。なので、オンラインミーティングでは「必ず顔出し・積極的に発言する」って自分の中でルールを決めてやってました。そうすると、オフラインで出社したときにも「あ、Eさんだ!」って覚えてもらえて、雑談のきっかけにもなるんですよ。
あと、仕様を詰めるときも難しいことがあって…。
本当は現場で一緒に確認したいけど、子供がいると出張にも行けない。
そういう時は、逆に同僚が拠点オフィスに来てくれて対面で設計を詰めたりして。全国に拠点があるので、そういう柔軟さも助かってます。
働き方の工夫と、評価制度がくれた余白
山添:
実際にフルリモートに転向してから、どんな変化を感じていますか?
Eさん:
とにかく生活に「安心感」が生まれました。
たとえば、子どもが体調を崩した時に「今日は保育園休ませよう」と即判断できる。
その分、自分でスケジュールを調整して、必要な会議だけ参加する。
評価が“成果ベース”なので、時間でカチカチに縛られていないのも大きなメリットです。
それから、年に数回オンラインでランチ会があって、離れていても仲間とのつながりを感じられる瞬間があります。同期や同じ部門の人たちと話すと、「ああ、自分は一人じゃないんだな」って実感できて、すごく励みになります。
育児×技術トレンドへのキャッチアップ――育休中の焦りと行動
山添:
今後の展望や、キャリアの方向性についても教えてください!
Eさん:
今は、「仕事・家事・育児」が全部生活の中心で、すべてが家の中で完結できます。だからこそ、自分で「切り替える力」がすごく大事だなと感じていて。何でも100%でやろうとすると壊れちゃうので、平常時は80%の稼働に抑えておく。その分、「ここぞ」という時だけフルスロットルで動けるような、そんなバランスを意識しています。
あと、育休中にChatGPTがすごく話題になって、「これはヤバいな…!」って焦った時期がありました。それで自主的にセミナーに参加して、生成AIのことを勉強したり。今では業務でもChatGPTやGemini、NotebookLMとか使って、
仕様設計のアドバイスをもらったりコードを書かせたりしてます。
これからも、そういう「ちょっとずつ学ぶ姿勢」は続けていきたいですね。
「ちゃんと休む」も仕事のうち
山添:
フルリモートを検討している人に、メッセージをお願いします!
Eさん:
真面目な人ほど「ちゃんとしなきゃ」ってがんばりすぎちゃうと思うんですけど、リモートって、自分の裁量でやれることが多い分、バランスが崩れやすいんですよね。だから「ちゃんと休む」ことも仕事のうち、くらいに思っていいと思います。コツコツと、自分を大事にしながらやっていけば、ちゃんと結果はついてくると思います。
無理をしない。けれど、歩みは止めないこと。
Eさん:
全部を100%でやる必要なんてない。
無理せず、でも止まらない。それが、今の私の働き方です。
山添:
生活と仕事の境界があいまいになりがちな今の時代。
そんな中でも、Eさんは「働き続ける」という選択肢を、自分のペースで丁寧に育てていました。フルリモ ートという選択が、ひとりひとりの“らしいキャリア”を叶える大きな支えになる。
そんなことを、改めて教えてくれるインタビューでした!