
【現役エンジニ アインタビュー第7弾】「在宅が当たり前になるなんて、時代が追いついたんだと思いました」
2025年6月4日
― 13年以上リモートで働くWebエンジニア・Hさんが語る、暮らしと仕事のリアルな変化 ―
「通勤がもったいなかった」「子どもが帰ってくる時間に家にいたい」
その思いから、Hさんは当時まだ一般的ではなかった“在宅勤務”を、自らの働き方として切り拓いてきました。
組み込みエンジニアとしてのキャリアを一度離れ、子育てを経てWebエンジニアとして復帰。そこから13年以上、完全在宅でフリーランスとして活躍し続けてきたHさんに、働き方の変遷とその裏側にある本音をうかがいました。
目次
組み込みからWebへ。子育てで一度キャリアを止めたから見えた道
山添:
まずはこれまでのキャリアについて教えてください。
Hさん:
最初はずっと組み込みエンジニアでした。C言語とアセンブラを触っていたんですけど、結婚して子供ができて、自然とキャリアを一旦止めることにしました。
でも、いざ仕事に戻ろうと思ったら…保育園に預けられないんですよ。当時は100人待ちとか当たり前の状況で、「働きたいのに働けない」っていう、ちょっと理不尽な壁にぶつかりました。
山添:
今でもその問題はありますが、当時はより選択肢が限られていたのでは?
Hさん:
そうですね。それで、アルバイトでネットショップの会社に入って、画像の切り抜きとかをやってました。Photoshopでの作業がメインでしたけど、「あぁ、これは私が本当にやりたい仕事じゃないな」って毎日思ってました。
それで半年で辞めて、プログラマーのアルバイトを探したんです。たまたまPHPの案件があって、そこに入ったのがWebエンジニアとしての始まりでした。
時代を先取りしたフルリモート転向の理由
山添:
そこからどうやってフルリモートの働き方に?
Hさん:
子供が小学校に上がるタイミングで家を買ったんですけど、勤務先からすごく遠くなってしまって。毎日通うのが現実的じゃないと思ったんです。
それで思い切ってフリーランスになって、在宅で仕事を始めました。今でこそZoomとかSlackが当たり前ですけど、当時はSkypeでやり取りしてました。
私にとっては、通勤時間を子供の時間に変えられるっていうのが本当に大きくて。リモートにしてよかったって、心から思ってます。
フリーランス×フルリモートのリアル。孤独と自由のはざまで
山添:
在宅で仕事をするようになって、どんな変化がありましたか?
Hさん:
良かったことはたくさんあります。子供が学校から帰ってきたら「おかえり」って言えるし、熱が出たら午前中に病院に連れていける。生活とのバランスが圧倒的に良くなりました。
あと、いろんな案件に関わるので、技術的な引き出しがすごく増えました。Java、Next.js、Railsとか、そのときの案件で使う技術に合わせて、都度キャッチアップするんです。
ただ一方で、「1人でやる限界」も感じています。困ったことがあっても気軽に相談できないし、チームの中にいてこそ得られる学びって確実にあるんですよね。
山添:
孤独の中で 仕事と向き合うって、やっぱり覚悟が要るんですね。
Hさん:
そうですね。自分ができる範囲内で完結させようとすると、チャレンジが減るので、そこがリスクだなとは思っています。
技術よりも“事業愛”。スキルではなく成果で評価される現場とは
山添:
フリーランスとして意識していることはありますか?
Hさん:
「お客様の事業を伸ばす」ってことですね。サービスを作って納品して終わり、じゃダメなんです。
「どうやったら売上が伸びるか」「どうしたらもっと使ってもらえるか」――そういう視点で考えないと、契約が続かない。実際、お客様の業績が落ちると契約打ち切りになることもありますし。
だから、私はお客様の“事業部の一員”として考えるようにしています。「このサービスが伸びたら、自分の価値も上がる」って思えるように。
「最初はリモートやめたほうがいい」――率直すぎるアドバイスの真意
山添:
これからフルリモートを目指す方へのアドバイスがあればお願いします。
Hさん:
正直に言うと、最初からフルリモートはおすすめしません。できるなら、大きめの会社に入って、チーム開発や現場の空気を肌で感じ てほしいですね。
いろんな人がいるから、質問もできるし、自然と学べる環境がある。自分が何を知らないかも分かっていない段階で、1人で仕事するのって危ないと思うんです。
もちろん、在宅は本当に快適だし、ライフスタイルには合ってますけど、「自立できるだけの基礎」がないと逆に苦しくなります。
フルリモートがくれた、学び続ける人生と“自分らしさ”
山添:
最後に、Hさんにとってフルリモートで働くことの“学び”とは?
Hさん:
ずばり、「自分との戦い」ですね。誰も見て いないからこそ、どれだけ自分を律して、学び続けられるかが問われる。
楽なように見えて、むしろすごく厳しい。でも、自分の頭で考えて動いて、お客様に喜んでもらえたとき、「あぁ、この働き方を選んで良かったな」って思えるんです。
そして何より、子供と過ごす時間や、自分の人生を自分でデザインできる感覚。それが、私にとっての“フルリモートの最大の価値”です。
【まとめ】
「サービスを作ることがゴールじゃない。その先にある“お客様の事業の成長”まで考えてこそ、価値あるエンジニア」――Hさんが13年間の在宅ワークでたどり着いた働き方の答えでした。