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一人ひとりの可能性が住んでいる場所で制限されることのない世界を「在宅techドットコム」

一人ひとりの可能性が住んでいる場所で制限されることのない世界を「在宅techドットコム」

2025年4月17日

「フルリモート×正社員」に特化したエンジニア向け求人サービスを立ち上げます



僕は今、ビヨンダリーという会社で、あるサービスを立ち上げようとしています。このサービスは、地方に住みながら首都圏の企業で正社員として働きたいエンジニアと、全国から優秀な人材を採用したい企業をマッチングするプラットフォームです。


社名の由来は、“Go Beyond Boundaries”。「垣根を超える」という意味を込めた造語です。地方に住む優秀なエンジニアが、居住地という制約なく、自分の能力を最大限に発揮できる場所で働けるようにしたい。そんな思いから生まれたサービスです。


フルリモートの求人は世の中にたくさんあるように見えて、実は探すのが難しいものです。「フルリモートOK」と書かれていても、実際に応募してみると「地方からのフルリモートはできません」と言われることもあります。また、フルリモートでの実際の働き方、会社の文化、情報共有の方法など、働く前に知っておきたい情報が不透明なことも少なくありません。


たとえば、出社しているエンジニアは、公式な会議や文書に残らない日常会話から重要な情報を得ることができます。「このプロダクトに次はこんな機能を追加したいね」といった話が、オフィスの雑談から生まれることもあるでしょう。こうした情報はチャットツールには記録されず、フルリモートで働くエンジニアには届きません。


そして数週間後、突然「新機能の開発を来月から始めます」という正式な発表があった時、出社組にとっては「知っていた話」なのに、リモート組は「初耳」という温度差が生まれます。その瞬間、リモートで働く人は「自分だけ情報から取り残されていた」ことを痛感するのです。真摯に仕事に向き合っているのに、知らないうちに置いていかれてしまうこの感覚は、想像以上に辛いものです。


じつはこれは、僕が聞いた実話を基にした話です。このエンジニアの方はもともと首都圏で働いていた方でしたが、子育てを理由に移住した結果、どうしてもこうした社内のエンジニア間の情報格差が埋められず、会社を辞めてしまったのだそうです。


首都圏の企業が求める水準のスキルを持っているエンジニアの方がこのような理由で転職を考える現状があります。そんな方たちが、エリアの垣根を越えて本当に自分の希望する仕事を見つけられるようにしたい。それが僕のサービスの原点です。


言えなかった「吃音」

このサービスは、僕自身の”障害”から生まれた経験が関係しています。ですので、サービスについて詳しくお話しする前に、少しだけ僕の話をさせてください。


僕は岡山で生まれ育ちました。地元のことは大好きなのですが、5年前に高校卒業とともに上京して、現在に至ります。


高校生当時の僕はまだ幼くて、Instagramで見かけるキラキラしたCEOの姿に憧れていました。「社長になりたい」「お金持ちになりたい」という単純な動機だったのですが、「お金持ち=不動産」という今思えば安易な発想で、不動産業界への就職を決め、上京することになります。


しかし、仕事が始まるとすぐに壁にぶつかりました。小さいころから、僕はうまく言葉が出てこないことがありました。高校のときにそれが「吃音」という話し方の障害と似ていると気づいたのですが、地元にいたときにそれによって困ることがあまりなかったので、そのままになっていました。


吃音とは、話す際に言葉が途切れたり、繰り返されたり、引き延ばされたりする症状のことです。僕の場合は、特に緊張したときや、自分の発言に注目が集まりそうなプレッシャーを感じる場面で症状が強く出ます。「こ、こ、こんにちは」のように言葉の最初の音が繰り返されたり、「あ......」と言葉が出てこなくなったりするんです。


多くの人は話すことを当たり前のように感じていますが、吃音がある人にとって、「必ず話さなければならない」状況は大きなハードルになります。たとえば、相手の表情が見えない電話などでは特に緊張感が高まり、「今から話さなければ」という意識が強くなるほど、逆に言葉が出にくくなってしまうのです。


それまで困難を感じたことがあまりなかったこともあり、入社前に吃音があることを会社には伝えていなかったのですが、これが裏目に出ました。入社以降は営業の仕事についたため、電話応対など話すことが中心の仕事になったのです。


僕の吃音の場合、「うまく話せないかもしれない」と心理的に感じてしまうと、言葉が出なくなってしまうことがありました。電話というのは、自分が話さないと無言になってしまいますから、絶対に話をしなくてはいけません。そのプレッシャーから、まったく電話が掛けられなくなってしまいました。もちろん、これでは仕事になりません。上司には事実を伝えないまま、電話を掛けられないことで落ち込んでいたら、その上司はおそらくよかれと思って自社ビルの清掃の仕事を僕に任せました。「とりあえずこれをやって、ちょっと休んでこい」と。


これはもう僕に仕事がないということだ、と悟り、入社一カ月で辞表を持っていきました。そうしたら、当時の副社長は「お前を採用するのに150万円かかったんだよ」と一言言い残しました。自分にもつらい経験になったし、会社にとっても損だったのだと知って、「なんてことをしてしまったんだろう」と思いました。このとき、採用のミスマッチがいかに問題かを思い知ったのです。


「配達のスペシャリスト」になるために

次に選んだ仕事は、佐川急便の配達ドライバーでした。町の中で荷物を配達する仕事で、業務委託として成果報酬型で働きました。配達の仕事を選んだのは、基本的に一人で仕事ができるから。10代のわりにはかなりの月収を稼ぐことができました。ただ、ここでも僕は、吃音について伝えられませんでした。


1年経ったある日、お届け先のインターホンを押して、ハッとしました。「佐川です」が出てこないんです。インターホンが鳴って、何も言わない人が立っていたら怖いですよね。しかし、翌日も同じ状況になってしまい、前職の電話対応のトラウマがよみがえりました。とりあえず、「佐川です」というセリフをスマホで録音し、インターホンを押すたびに再生するという方法でその場をしのぐことにしましたが、これでは先がないと思って職を離れることにしました。


ただ、この配達員時代に、僕には一つ学びがありました。


配達員の受け取る報酬は、配達する荷物の量で決まります。ある地域の配達を任されていた僕は、どうしたらもっとも効率的に大量の荷物を運べるのかを研究することにしました。


まず、同じ営業所で人よりも配達量がずっと多い「配達のスペシャリスト」を見つけ、どうやって仕事をしているのか聞いてみることにしました。すると彼は、配達当日の荷物を載せる時点で、配達のルートを脳内で作り、効率よく配達できるようにトラック内の荷物の配置を一瞬で考えているというんです。だから、配達しているときに、奥の方に荷物が入って出しにくいということがありません。現場で、本当にパッパッパッと荷物が出てくるんです。


地図が頭に入っていることはもちろんなのですが、荷物の積み方も大事だということがわかりました。そこで、退勤後や休日に、地図を見ながら道を回り、どんなふうに荷物を積めば効率的なのかわかるよう、配達ルートを調べつくしました。自分で何度も回っていると、地図を見ずとも番地がわかってくるんです。努力が実り、配達量はみるみる増えていきました。


そうして成果を出していると、周囲にも認めてもらえるようになりました。今でも佐川時代に仲良くしてもらった方々とは交流が続いています。吃音であることとは関係なく、自分の力を発揮するためにできることはたくさんあることは、僕にとっては大きな学びでした。


突然大仕事を任され、本屋に直行したら

その後、飲食店でのアルバイトと、求人広告代理店でのアルバイトを掛け持ちするようになりました。仕事としては飲食店もキッチンでしたし、求人広告の仕事はカスタマーサクセスという顧客との対話が少ない仕事で、会社に吃音のことも伝えて仕事をするようにしていました。それだけで、仕事が楽になった気がしました。


ある時、求人広告代理店の仕事中に偶然にも社長の隣の席になりました。そして理由は分かりませんが、社長が担当していた大手IT企業のスカウト業務を任されたんです。


「めっちゃ頑張ります!」と二つ返事で引き受けたものの、これがエンジニアの採用で、その職種について僕の理解が浅すぎました。その日の仕事が終わったら書店に直行し、この職種に関連する書籍を片っ端から買いあさりました。早く勉強を始めなくては、とはやる気持ちを抑えきれなかったのです。その日に買った本は7、8冊あったでしょうか。会社の経費にすることもできたのですが、申請が承認されるまでの時間すら惜しかった。


たまたまその日の夜に社長から励ましの連絡があり、その流れで「僕も頑張ります。本を買ってきました」と写真付きで返事をしました。そうしたら、その日の僕の行動を、社長が全社集会で「この仕事に対する姿勢は素晴らしいよね」と発表したんです。僕、バイトですよ。もう、恥ずかしくて。笑


ただ、これをきっかけに、社員へとステップアップすることになりました。起業の夢は持ち続けていましたが、吃音のことを気にせずに働けて、なおかつ自分を最終的に課長にまで昇進させてくれるなど、しっかりと評価してくれることにとても感謝しており、今回の起業までこの会社にお世話になりました。


この会社での体験がなかったら、制約がありながら目いっぱい働けることの楽しさを知ることはできなかったかもしれません。


出社組との「情報格差」に悩むフルリモートエンジニアの存在を知る

とても良くしていただいた求人広告代理店の仕事ですが、もともと就職するときも、「2年経ったら起業する!」と周囲に宣言していました。(結果、3年が経っていました。本当にお世話になりました!)


起業のきっかけは、その会社で大手IT企業のダイレクトリクルーティングを担当していた時の気づきでした。


全国でエンジニア採用を行われている企業だったのですが、ダイレクトリクルーティングサービスのデータベースに地方エンジニアの数が少なく、お客様自身がそこへの不満を抱えられていたことから、「ここにビジネスチャンスがあるのではないか」と考えました。


また、ダイレクトリクルーティングサービスのデータベースを見ていると、地方在住の人で「首都圏の企業にフルリモートで働きたい」と書いている人はいるのです。ただ、僕が担当していた会社はフルリモートNGの会社で、その人にスカウトメールは送れずじまい。エンジニアとしてのスキルが非常に高いと見受けられる人だったので、すごくもったいないと感じていました。この際も「ここにビジネスチャンスがあるのではないか」と感じていました。


それで、最初は地方人材専門のダイレクトリクルーティングサービスを考えていたのですが、自力でリサーチをしてみて、方向性が変わりました。


このリサーチは、Xで100人のエンジニアにDMを送り、返信をもらえた人にオンラインインタビューを実施するというやり方です。そうして話をしているうち、「フルリモートでの仕事探しの難しさ」という”不”を見つけました。


そこでさらに話を聞いたのが、「地方に住む、首都圏の企業でフルリモートで働いていた人」でした。その人は首都圏の出社組とフルリモート組との情報格差に悩み、月に一度は出社するよう努力していたのですが、最終的に退職してしまいました。地方の企業に転職すれば良いのでは、と思うかもしれませんが、首都圏の給与水準に慣れた彼にとって、給与の下がる選択肢は受け入れがたかったと言います。


夜行バスに揺られ、解像度を上げに行く

こうした話を聞くうちに、「フルリモートに特化した正社員の求人サービス」という方向性が見えてきました。業務委託のフルリモート案件は多いものの、正社員で地方からのフルリモートOKという条件で探せるサービスは少ないのです。


もっと解像度を上げたい、そう思った僕は、実際に地方のエンジニアと話をするため、金曜日は会社を退勤したあと、夜行バスに乗り、地方のエンジニアイベントに参加して回りました。夜行バスは想像以上に寝づらく、体も痛いし、途中でたびたび起きてしまうので、全く熟睡できません。現地では漫画喫茶で仮眠をとり、午後にはイベントに参加。イベント中はしっかり趣旨に合わせて参加し、そのイベントの二次会や三次会で参加者と仲良くなるようにしました。やはり、顔を合わせて話をすれば、より深い付き合いができます。人脈を広げながら、サービスについて話をする機会を得ていきました。


何もない状態から、サービスを立ち上げるために行ってきた一連の活動の中で、DMを送った相手の中から協力者が現れ、オフライン活動からも仲間ができました。さらにそこから、サービスのプロトタイプを作ってくれるエンジニアとも出会うことができました。この経験から、行動することの大切さを痛感しました。アイデアだけでは何も始まらない。行動あるのみだ、と。


僕が目指すのは、「機会損失のない世界」です。地方に住む優秀なエンジニアが、首都圏やスタートアップで働き、素晴らしいサービスを作ってほしい。そして、エンジニア自身がどこに住んでいても、収入を下げることなく、自分の技術を存分に発揮できる場所で、会社員として働くことができる。そんな世界を実現したいと思っています。


もちろん、フルリモートを希望する人すべてに資格があります。ただ、企業がフルリモートのエンジニアに求めるのは豊富な経験と知識です。だからこそ、「フルリモートを希望する優秀なエンジニア」と「フルリモートの働き方に理解のある企業」との橋渡しになれるサービスを作りたいのです。


「在宅techドットコム」は、エリアの垣根を越えた挑戦を応援します!

僕自身はまだ23歳のひよっこです。ただ心にあるのは、ゼロから事業を創り出せる起業家になりたいという思いだけ。正直に言えば、お金も稼ぎたいし、事業家としての名誉だってほしいなんていう野心もあります。


だからこそ、ゼロイチの事業を作ることができる起業家として、真剣に向き合える事業を探してきました。僕自身、吃音という障壁があり、つまずきながら、一つずつ進んできました。このつまずきがあったからこそ、地方にいることで力を発揮できない優秀なエンジニアと、そんな人を採用したくてもできない企業のすれ違いを見つけることができたのだと思います。


その経験があるからこそ、フルリモートで首都圏の会社で働く選択肢を選ぶ人の挑戦を応援したいと思いますし、地方に住む優秀な人材が実力フルパワーで働ける場所を作りたいと心から感じます。そして、住んでいる場所という理由で能力を発揮できない人をなくす—―、そんなサービスを実現するために、これから大きな挑戦を始めます。


そしてこの挑戦は、僕一人の力ではなく、多くの仲間とともに創り上げていくものです。地方に住む優秀なエンジニアの方々、そして全国から優秀な人材を採用したい企業の皆さん。僕自身の挫折と成長から生まれたこの「在宅techドットコム」で、エリアの垣根を超えた新しい働き方を一緒に実現していきましょう。一人ひとりの可能性が住んでいる場所で制限されることのない世界を、僕は創りたい。応援していただけると嬉しいです。


現在、7月のローンチに向け求人掲載企業を募集しております。

HPのお問合せからご連絡いただけますと幸いです。


サービスローンチ後に連絡を希望されるエンジニアの方は、HPの事前登録というフォームに情報のご入力をお願いいたします。


Go Beyond Boundaries!

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